できごと

お部屋へ来てほしいという子の話

 何度も衝撃とともに思い出すので、そこで立ち止まって思い返し、また書いてみたのだけど、一体誰に何があったのだろう。

 ある女の子がいた。正確な年齢は覚えていない。その子からあるとき、最低7回ぐらい、お部屋に来てほしいという言葉があった。早足で歩いて、無視して、ずっと断っていたけど、ある時、お部屋へ行った。自分がお世話しないといけないような気がして。彼女は来るように繰り返し言い、何度もついて来て話しかけて来た。ベッドに座ることも、一緒に漫画を読むことも、その子の希望だった。他人の私なんかと一緒に少女漫画を読んで何になるのかと思ったけど、ページをめくった。ベッドの脇だったか、綺麗な赤いランドセルを覚えてる。しばらくして、そろそろ戻るね、と告げて私は自室へ戻った。もう行ってしまうのかと言っていたけど、ほかにどうしようもなくて・・・

 多分私はその子に何をしてもいいと思っていた。その子に何もしなかったのは偶然だと考えてる。たとえ私が先輩だとしても、1000度その子が私に要望を発したとしても、それがどのような要望だったとしても、断らなければいけなかったと思う。偶然が何か違っていたら、どうなっていたことか。私は自分の加害性を知らないままの存在だった。けどまとわりつかないでほしい、うるさい、どうしたらいいのか、と強く思っていたのははっきり覚えている。だから、あの子どもにはちゃんと見守る固定の大人がいてほしいと、すぐさま大人に私は告げなくてはいけなかった。でも、そこまで考えられずうろたえるだけだった。

 

 私は今も、子どもに対し自分に理性が充分あるか疑問に思う。この疑問をずっと持っていないといけない。私はケアする職でも大人でもなんでもなく、年上女子だった。学んだ大人たちでも、難しい状況の子どもと接するのは難しいと聞く。だからこそその大人は、私のように孤立した少女としてお世話するのでなく、適切な相談相手を持ち、ケアもしケアもされ、心底時間を作って関わることもあれば、ちょうど良い見極めをして、ほどよい休息の時間も選ぶのだと思う。子どもの私には小さなあの子のお世話なんて、本来、できる事ではない。できる事ではない責任を負おうとした。

 

 ほかに、ここは性非行が多くあなたは本当にまじめだからここにいるのは間違いに思える、ということを私に言った大人女性や、薄暗いところでものも言わず佇んでいた4人ぐらいの小学生の少年、廊下でトイレする無表情の子どもの事、それと無用な罰を受けていた気がする子と目が合ってしまった事、片目だけ灰色で黒が混じったところもあり皆に綺麗だと覗き込まれていた子、別の子どもだけの建物から来た子の記憶が、私の近くを行ったり来たりする。普段はそんなに差し迫った事は起きてなかったんだけど。

 

 前と同じことを書きなぐって思ったのは私は自分の被害や加害は認識しようとするのに、少し遠くで取っ組み合ったり叫んでいたり、佇んでいる子のこと、他者である子ども達のことは、たとえ生きようが死のうがどうでもいい他者なのだとどこかで強く思うようなところがあること。それもまた加害にもそして被害にもつながりそうだと今やっと思った。なので年下の子どもの事は特に回想して考えたい。

 

 あと以前何を書いたか忘れがちで、トイレに行くのが異様に苦痛だったことを書いたと思うのだけど、読み返せないため今さっき、やっとまた思い出した。トイレのことはやたらと苦痛なのでもう書けないかもしれない。でもだからこそ、廊下でトイレする子の事などでなく自分自身がトイレに行きたくないわけについて把握するべきなのだろうけど、多分過去のこれらは、ほぼ全て、掘り返すのは気をつけてやらなくちゃ。今はやめとこうと思う。