できごと

里親家庭へ行くことが出来れば、子ども達の連鎖が起きることは無くなる。

あの子は、ずっと施設に居た。

わたしは、途中でやってきた。

すぐに、恐ろしくなった。

あそこは地獄の底の底。

 

物はあるけど、治安の悪いスラムみたいなところだった。

小さな子ほど、餌食になった。

小さな子には、庇ってくれる親はいなかった。

小さな子は、全部わかっているのか静かだった。

無駄に泣いたりしなかった。


もし少年院なら、親や誰も身柄引き受けをしない場合はそれだけで満期入所だ。

小さな子も同じようだった。

ある時、わたしより小さな子が数人に取り囲まれていて

わたしは足が竦んだ。

ある時、大人の女が女の子を床に叩き落としていた。

ある時、別の女の子がマリアさまの祈りのようなものを一心に暗唱していた。

自分の大小便を廊下でして、あたりに投げ散らかす子がいた。

大事な本をびりびりに破かれた子。何も食べず、点滴をしてた子。狂ってしまった子。自分を傷つける子。

他者を傷つける子。

 

全員、今のわたしからみればほんとうに小さな子どもたち。全員、あたたかな里親家庭(フォスターケアのもと)へ行ってほしかった…。

2~8歳ぐらいまでの子と、9~16歳ぐらいの子をわけた施設構成をしてほしかった思いもある。

子の親なら、誰が、傷つき続けてはちゃめちゃに表現する年上の子たちと、自分の幼子を寝食共にして放っておくだろう?!

子の親なら、誰が、傷つき果てた年上の我が子のそばに、あえて小さい子を何人も置いておくだろう?!

里親家庭へ行くことが出来れば、子ども達の連鎖が起きることは無くなる。